特集・コラム

仮想化基盤運用コラム

第10回 運用をルール化する(前編)

著者:運用・自動化サービス推進部 紫藤 泰至

前回は、運用をする人の特性を考えて、「黒船」である「仮想化基盤運用」をどのように推進したか、自身の経験を含めて解説しました。

今では当たり前のように行っている仮想化基盤の「払い出し」も、立ち上げ当初は多くの課題がありました。「作る人」の仕事の一部分である「払い出し」の作業を「運用の人」がすることはとても抵抗感があり、この抵抗感が「意識の壁」となり、運用の人は戸惑うことが多かったのです。

この「意識の壁」を克服するためのキーワードが「愚直」でした。「運用」の人は、愚直にきっちり仕事をすることが得意であり、この特徴を生かすことで「意識の壁」を超えていったのです。(※コラム第9回を参照)

もう一つ重要なキーワードは、「ルール化」です。「運用」の愚直さを生かせるように、ルール化を進めました。前回ご説明したように、「運用」の人は決められた「ルール」をきちんと守りながら、まじめに仕事をすることが得意です。得意なことを生かせるように、「ルール」を重要視したのです。

今回は、運用の考える「ルール化」について説明をしていきます。具体的に「運用」をルール化するとはどのようなことなのか、「仮想マシン」払い出しの業務を例にとり解説をしていきます。

その前に、運用の考える「ルール」について説明をしていきます。ひょっとしたら、皆様の考える「ルール」と運用の考える「ルール」は内容が異なっているかもしれません。身近な例を示しながら「ルール」のイメージを共有できたらと思います。

人生いろいろ、ルールもいろいろ

皆様は、「ルール」と聞いて、どのようなことを考えるでしょうか?

まずは、「守らなければいけないもの」と考えていただければと思います。

さて、そのルールなのですが、大きく考えるとルールの中に書かれているのは、以下の2点になります。

 ・何をするのか?
 ・してはいけないことは?

「してはいけないことは?」は比較的意味を理解しやすいと思います。

「赤信号の時は、横断歩道を渡ってはいけない」

交通ルールという言葉があるくらいなので、上記の文章は、ピンとくると思います。

それでは、こちらはどうでしょう。

「車は車道の左側を通行する」

これは前者ですね。ルールの中でも、「してはいけない」ことばかりではありません。

ここでポイントなのは、人はルールの中で「してはいけないこと」に目を奪われがちなところです。「してはいけないこと」は、明確な理由があり、わかりやすいためと考えられます。また、「してはいけないこと」は、「罰則」がセットになっていることが多く、これも理由の一つにあげられます。赤信号の時に横断歩道を渡ると、車と接触して大事故につながる。重大な過失があれば、違反切符をきられてしまう、などです。

しかし、本当に重要視すべきは、「何をするのか」だと私は考えます。特に「運用」にとっては「何をするのか」がとても重要になります。

それはなぜでしょうか?

ラーメン屋さんのルール?!

少々脱線しますが、ラーメン屋さんの話をします。

これは人から聞いたことなのですが、ラーメン屋さんで美味しいラーメンを作ることは実はあまり重要視されないそうなのです。ある意味、美味しいラーメンを作ることは簡単なことで、手間暇かけて、場合によってはお金をかければ、実はさほど難しいことではないそうです(あくまでもプロの話ですが)。何が一番難しいかというと、毎日一定レベルの味を出すことであり、且つとても重要視されるそうです。その背景について順を追って説明します。

飲食の業界では、常連さん(リピーター)獲得が一つの課題にあげられます。

常連さんは味にうるさい人が多く、味の変化にすごく敏感です。なぜならば、そのラーメンのその味を楽しみにわざわざ足を運んでくるからです。列に並んでまで食べる味が、思い通りの味でなかったらどうでしょうか。がっかりすることこの上ないですよね。

初めて来るお客さんでも同じです。次に訪れる時は、その味を求めに来るのです。いつどのタイミングでどんなお客様が来るかわからないので、瞬間的に美味しいものを作ってもリピーターを増やすことにはつながりません。そのお店自慢の一杯を常に提供しつづけることが重要視されるのも頷ける話です。

それでは、ラーメン屋さんでは、味を一定に保つためにどのようなことをしているのでしょうか。

詳しくは秘伝と呼ばれるところなのですが、どうやらとても細かいところに気を使っているようです。その日の気温、湿度の具合によって、麺の茹で時間を変えたり、スープの温度を調整したり、いろいろな工夫をしている姿が見受けられます。

ただし、それは微調整のレベルであり、新作を作るようなとがない限り、作り方をガラッと変えることはしません。作り方をガラッと変えて、味がガラッと変わることのほうが危険だからです。

ですので、まず確立しなければいけないのは、いつも使っている材料、道具、そしていつもの作り方。つまり「レシピ」です。しっかりした「レシピ」を軸として、状況に応じて微調整をするのです。これによって、常に一定の味をお客様に提供し、ひいてはリピーター獲得に貢献するのです。

この「レシピ」を「ルール」と置き換えると、「ルール」で「何をするのか」が重要であることと感じていただけると思います。

「運用」の味とは?

さて、「運用」の話にもどります。

誤解を恐れずに言うならば、運用もいつも同じ味を出すための工夫をしています。

コラム第5回でご説明したように、運用では日々安定した運用をすることが重視されます。とにかく「日々是好日」が全てです。

また、コラム第9回では、複数人のチームで「運用」をする以上、だれが行っても、同じ「運用」をする必要があるとご説明しました。

つまり、「日々是好日」の運用を実現するために、だれでも実行できるような堅牢なルールが必要なのです。

堅牢なルールを作る際の注意点をいくつかご紹介します。

①スタートとゴールを決める
②「何をするのか?」を明確にする
③(ある程度)うまくいかない状況を想定する

①は、スコーピングと呼ばれるものです。「範囲を決めること」と言った方がわかりやすいと思います。最初に範囲を決めておかないと、「すること」が永遠に続くことにもなりかねません。ですので、最初にお仕事の範囲を決めるのです。

②は最重要項目です。運用を始める前には、まず「何をするのか?」を明確にするようにしてください。

以外と難しいのが③です。経験のある業務なら、ある程度想定もできるのですが、未経験だとなかなか洗い出せないことがあります。そのようなときは、少々ネガティブな気持ちを持って、「こんなことが起こったら困る」状況や陥っている自分をイメージするといいかと思います。
(後編につづく)

■次のコラム
第10回 運用をルール化する(後編)

■前回のコラム
第9回 仮想化基盤運用を作る

著者:運用・自動化サービス推進部 運用デザイナー 紫藤 泰至

メインフレームからのシステム運用の経験を活かし、お客様のシステム運用をデザインする業務を歴任。
現在は、仮想化基盤(プライベートクラウド)運用、運用自動化をデザインするコンサルティングに従事。
ITIL Expert保有。

※記載内容は掲載当時のものであり、変更されている場合がございます。

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