特集・コラム

仮想化基盤運用コラム

第5回 運用のハッピーとは?

著者:運用・自動化サービス推進部 紫藤 泰至

前回までのコラムで、ITシステムの面倒を見ることが「運用」であると説明しました。

①何を? → ITシステムを
②(うまく)どうすると? → 面倒を見ると
③どうなるの?(どんな目的が達成できるのか)

今回は「運用」を理解するための最後のポイントとして、上の③にあたる「ITシステムの面倒を見ることの目的は何か?」について説明していきましょう。

ITシステムを「運用」する目的とは

第2回のコラムでは、資産運用と鉄道の運用の2つを例として取り上げ、「運用」をすることの目的は、お客様と企業がお互いに“ハッピー:ハッピー”の関係を築くことだと捉えました。これを踏まえてITシステムを「運用」する目的を考えると、「ITシステムを使う人がみんなハッピーになる」こととなるでしょう。

…と、きれいな回答にまとめてみたのですが、なぜかしっくり理解できません。私自身もこの答えがピンときていません。

ITシステムは今や、電気・ガス・水道などと同様に社会インフラであり、世の中になくてはならないものと言えます。ですから、「ITシステムを使う人がみんなハッピーになる」という目的は間違っていないはずです。

しかし、ITシステムを「運用」する目的は、果たしてそれだけなのでしょうか。

少々話が飛びますが、前回のコラムを書く際、周囲にいる「運用」のベテランたちへITシステムの「運用」についてインタビューをしました。内容は、「運用とはITシステムを○○○○(する・させる)ことです。○○○○の部分を埋めてください」という質問です。

なぜインタビューを行ったのかというと、「運用」とは「ITシステムの面倒を見ること」という考えが、一般的な見地からかけ離れたものでないことを確認するためです。「運用」という言葉は、人によって様々な捉え方をされるので、私の考えの正当性を確かめたかったのです。
インタビュー「○○○○を埋めてください」
インタビュー「○○○○を埋めてください」
説明なしで突撃インタビューをしたのですが、さすが運用のベテランたち、含蓄のある答えを出してくれました。“正常稼働”、“有効な状態に”、“円滑に機能”などとそれぞれ表現は異なりますが、「運用=面倒を見ること」という結論を導き出すことができそうな答えです。特に“お守り”という言葉は、ズバリ「面倒を見る」ことと同義と考えていいでしょう。私も「これでコラムに堂々と書けるぞ」と気分が盛り上がりました。

インタビューを続けている最中、あるベテランから「このインタビューのテーマって、運用の目的だろ?」と逆に質問を受けました。主旨を説明しなかった私が悪いのですが、どうやら「運用」そのものの全体像ではなく、「運用」の目的を質問してきたのだと思ったようです。つまり、そのベテランは、ITシステムを“正常稼働”させるために「運用」をすると考えているようでした。

なぜ、「運用」のベテランは、このような考え方をするのでしょうか。

繰り返しになりますが、「運用」とは「ITシステムの面倒を見ること」です。
例えるならば、ITシステムは小さな子供で、「運用」に携わる人はその親のような存在。子供が風邪をひいて高熱を出せば、親はパニックになりますよね。同様に、「運用」に携わる人たちはITシステムが正しく動かなくなってしまう事態をとても恐れます。

ITシステムが正しく動かなくなると、どうなるのでしょうか? 身近なITシステムが全て使えなくなってしまった世界を想像してみてください。メールが送れない。インターネットで検索もできない。チケットが予約できない。コンビニに行っても商品がない。ATMでお金が引き出せない…。ITシステムが使えない世界は、昨日まで当たり前だったことが何もできない世界です。このような世界にしないために「運用」の仕事があり、「運用」の存在意義があるのです。

これが、ベテランのみならず「運用」に携わる人が、「ITシステムを使う人がみんなハッピーになる」ことよりも「ITシステムを正しく動かすこと」にフォーカスしている理由です。

「運用」のハッピーは“日々是好日”

しかし、「運用」に携わる人が「ITシステムを使う人がみんなハッピーになる」ことを考えていないかというとそうではありません。ITシステムの面倒を見て、ITシステムを正しく動かすことで、結果的にみんなをハッピーにすることを目指しています。

つまり、「運用」のハッピーは“日々是好日”の実現なのです。

“日々是好日”とは禅の言葉ですが、「毎日が何事もなく、無事でよい日である」ことです。いい言葉ですよね。当たり前の日々が一番幸せなのです。
「日々是好日」がみんなをハッピーにする
「日々是好日」がみんなをハッピーにする
「ITシステムを使う人がみんなハッピーになる」ことは、ITシステム全体の目標とも捉えられます。「運用」は、“日々是好日”を実現することでその一翼を担っています。逆に考えると、「運用」だけでは、その目標に到達することはできません。なぜならば、ITシステムは「運用」だけで成り立っているわけではないからです。ITシステムの周りには様々なプレーヤーがいて、役割分担をしながら、それぞれの仕事に取り組んでいます。

次回は、ITシステムに携わるプレーヤーたちを取り上げ、具体的にどのような仕事をしているのかを紹介します。そして、ITシステム全体の中で、「運用」がどの位置づけになのかについて説明します。

コラムこぼれ話

このコラムのテーマは、「仮想化基盤の運用」なのですが、連載5回目にしてまだ仮想化の文字が全く出てきていません。このことを社内の関係者から指摘され、「何事を進めるにも段階というものがあり…」と苦しい言い訳をしているところです。仮想化の運用を期待している方々には大変申し訳ございません。もう少しで登場しますので、今しばらくお待ちください。

■次のコラム
第6回 ITシステムのプレーヤーたち(前編)

■前回のコラム
第4回 誰がスイッチを入れるの?

著者:運用・自動化サービス推進部 運用デザイナー 紫藤 泰至

メインフレームからのシステム運用の経験を活かし、お客様のシステム運用をデザインする業務を歴任。
現在は、仮想化基盤(プライベートクラウド)運用、運用自動化をデザインするコンサルティングに従事。
ITIL Expert保有。

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